EDとは
勃起機能が低下する男性性機能障害
EDは、Erectile Dysfunctionの略称で「勃起機能の低下」を意味します。
勃起不全症とよばれる「男性性機能障害」の1つです。
- 性交時に十分な勃起が得られない状態
- 十分な勃起が維持できない状態
- 満足な性交が行えない状態
など、以上のように定義されています。
現代の日本では、40代男性の約20%、50代男性の約40%、60代男性の約60%に、中等症以上のEDが認められています。
ED治療の重要性
EDは痛くなる症状があるわけでもなく、命を落とすような重篤な病気でもありません。
しかし、EDによる自信喪失や心理的なストレスを抱える男性はとても多く、日常生活のさまざまな場面で影響を及ぼしてしまうことも少なくありません。
EDの治療は機能的な問題を解決するだけではなく、症状がみられなかったときのような自然体をとり戻す意味でも、重要であると考えられます。
医療機関でメンタル的なサポートを得ることで、患者さんの生活の質(QOL)を向上させることができます。
EDの主な原因
勃起には神経と血管の働きが必要不可欠です。
脳から陰茎への神経を通じて命令・信号が送られ、陰茎にある組織に入る血液の量を増やすことで陰茎が硬くなります。
EDは何らかの原因で、その神経伝達や血液流入の阻害が起こっている状態です。
EDは大きく4つのタイプに分類されます。
- 精神的ストレスによる心因性ED
精神的・心理的な要因が重なり、勃起機能の低下がみられます。比較的、若い方に多いEDです。 - 身体的障害・加齢による器質性ED
血流や神経など、身体的な何かしらの異常や障害によって、機能障害が起こっている状態です。 - 複数の要因による混合性ED
心因性EDと器質性ED、両方の影響を受けているケースです。比較的、ご高齢の方に多いEDです。 - 薬剤の副作用による薬剤性ED
他の疾患の治療によって何らかのお薬を服用されている場合、その薬の副作用によって勃起不全が起こっている可能性があります。
精神的ストレスによる心因性ED
20代・30代・40代の働き盛りの若い世代に多いED
- 仕事でストレスを感じることが多い
- 過去の性交でトラウマ(失敗経験)がある
- 妊娠のために性交を行うことがプレッシャーになっている
など
日々の生活の中で何らかの心理的ストレスを感じ続けてしまうことによって、性的な刺激があっても勃起できないという場合があります。
心因性EDを根本的に解決するには、その精神的・心理的な要因を取り除くことがとても重要です。
必要に応じてED治療薬を服用することで少しずつ自信を取り戻しながら、心理的ストレスを和らげていくことが大切です。
身体的障害・加齢による器質性ED
50代以降に多いED
加齢に伴って、男性ホルモン(テストステロン)の分泌が低下すると、勃起不全を誘発することがあります。
年齢を重ねるにつれて血管の弾力性が失われ、血管が十分に拡張できなくなる場合があります。
また、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を患っている方は、血管に対してストレスがかかり、血流の問題によってEDを誘発している可能性も検討されます。
加齢以外の要因
脳卒中やてんかん、パーキンソン病など、神経に障害ができる病気によってEDになる方もいらっしゃいます。
性的刺激を受ける神経や、勃起の指令を伝える神経が機能低下を起こしている状態です。
過去の事故や手術によって発症する方も少なくありません。
複数の要因による混合性ED
50代・60代の方に多いED
加齢による身体的症状や、仕事・家庭でストレスを抱えることの多い年代に多いEDです。
身体的な理由で勃起しづらくなっている状態(器質性ED)に対してストレスやプレッシャーを感じ、新たに心理的・精神的な要因(心因性ED)を作り出してしまうことがあります。
また喫煙やお酒の飲みすぎも、身体的・心理的ストレスの増大につながるため、注意が必要です。
薬剤の副作用による薬剤性ED
年齢を問わず発症する可能性があるED
抗うつ薬や降圧剤などの薬剤が、EDを誘発している可能性も考えられます。
その要因として考えられる薬剤としては、
中枢神経や末梢神経に作用する薬剤
- 解熱 消炎鎮痛剤
- 抗うつ薬
- 抗けいれん薬
- 抗精神病薬
- 催眠鎮静薬などの向精神薬
末梢神経に作用する薬剤
- 鎮けい薬
- 抗コリン薬
循環器系に作用する薬剤
- 不整脈治療薬
- 利尿剤
- 降圧剤
- 血管拡張剤
- 脂質異常症治療剤
消化管に作用する薬剤
- 消化性潰瘍治療薬
- 抗コリン薬
- 鎮けい薬
などがあげられます。
ご自身の薬が影響を受けているかどうか気になる方は、お気軽にご相談ください。
EDの治療・治療費
根本的な生活習慣の見直しが大切
治療をする前に
EDの治療は主に治療薬によって症状改善を図りますが、上記にあげたようなEDのパターンに応じて、適切な治療法を選択していきます。
単に薬を服用するだけでなく、持病の治療を行ったり、根本的な生活習慣を見直しを図ったりすることも非常に重要です。
ED治療薬について
ED治療薬は、勃起の機能低下を防ぐために服用するお薬です。正確には「PDE5 阻害薬」といいます。
PDE5とは
陰茎には海綿体という「スポンジ状の勃起性組織」が存在します。
細い血管が集まっており、海綿体はほぼ血液で占められています。PDE5とはこの海綿体に多く存在する酵素です。
脳から陰茎への神経を通じて命令・信号が送られ、海綿体に入る血液の量を増やすことで陰茎が硬くなります。
このときに血管拡張を促す物質(サイクリックGMP)が働いてくれるのですが、PDE5はこれらの物質を壊してしまう作用があります。
つまりPDE5が活発になりすぎると、勃起機能を阻害する要因となります。
PDE5阻害薬を服用することでPDE5を抑制し、筋肉が弛緩して血流を促すことで、勃起のメカニズムを正常化させることができます。
日本で認可されている薬の主成分
- シルデナフィル(バイアグラの後発品)
- バルデナフィル(レビトラの後発品)
- タダラフィル(シアリスの後発品)
の3種類です。
いずれも高い効果が認められており、副作用による重篤な症例は今のところ報告されていません。
ED治療薬の費用について
ED治療薬の料金
シルデナフィル | 1,000円(税込) |
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バルデナフィル(20mg) | 1,200円(税込) |
タダラフィル(20mg) | 1,500円(税込) |
※1錠あたりの値段です。
※ 初診料・再診料を含みます。
※ 保険適用外となります。
ED治療の副作用やリスク
治療開始前に、必ずご確認ください
どのような治療法や治療薬であっても、副作用が起こるリスクはゼロとは言い切れません。EDの治療も同様に、治療薬によって起こりうる副作用を想定して治療を進める必要があります。
EDの治療薬には、わずかではありますが、下記のような副作用がみられる場合があります。
副作用
- 血管拡張作用に伴う頭痛、ほてり
- 消化不良や腹痛症状
- 充血、動悸、頻脈の症状
- 肝機能障害
- アレルギー症状(薬疹を含む)
なお、心臓の薬である硝酸薬を内服・外用中の方は血圧低下の副作用の危険性が高くなる恐れがありますので原則として処方をお断りさせていただきます。
治療薬服用後、1つでも上記の副作用がみられた場合は必ず内服を中止し、すぐに当院へご相談ください。